難病とは?

一口に難病と言っても、その定義は文脈により様々です。
 
一般的な『難病』と他の病気と明確な線引きはありません。治療が困難な病気は数千ありそれらを便宜的に『難病』と呼んでいます。その中でも、平成26年に成立した難病法の中で以下のような要件を満たすものを指定難病といいます。

 

原因が不明

治療方法が確立していない

長期の療養を必要

患者数が日本国内で一定の人数(人口の0.1%程度以下)に達していない

客観的な指標による一定の診断基準が定まっている

 

沢山の難病がある中で、平成2610月に110疾患が指定難病に認定され、2017年2月時点では306疾患が対象となっています。(対象疾患一覧はこちら

 

一方で、このいわゆる難病法には課題も多くあります。原因や治療法が確立されていないものの患者数が多い疾患(線維筋痛症や慢性疲労症候群等)や、診断基準が定まっていない疾患は、上記の基準を満たさないため、指定難病の対象外となっています。

難病で困ること

難病と診断された人がまず必要なのは医療的なケアです。入院して点滴や投薬、手術等の治療を受けることが多いです。一方で、診断までに時間がかかり、なかなか病名が確定しない場合もあります。

 

いずれにせよ、難病は風邪や盲腸のように寝ていれば治る、切除すれば治るものではありません。発症したその日から、ずっと付き合っていくものです。

毎日薬を飲んでいる人もいれば、自己注射をしている人もいます。定期的な点滴が必要な方もいるでしょう。

継続的な治療によって、病気でない人と同じように生活ができる人もたくさんいます。

「同じように生活ができる」と言っても、定期的な通院は必須です。また、季節や身体への負担によって、体調が変動しやすいのも難病の特徴です。


難病と就労

 

採用前面談の段階で、自分の病気のことをお話することが理想ですが、必ずしも正しいとは限りません。

開示する場合は、病気の仕組みそのものより、就労にどのような配慮が必要なのかを伝えることが大事です。

 

例えば…

①月1の通院のための休みの確保

②体調が悪い時のための休憩時間・休憩室等

③スロープ・ディスプレイ等障害に応じた環境整備

④時短勤務の導入

⑤職務内容の配慮(身体を使う仕事は避ける)

 

等が配慮として考えられます。これ以外にも、病状に応じた配慮をしてもらう必要があります。

 

 

加えて、面接時の人事には病気のことを理解してもらえたとしても、実際配属される先の上司や隣の同僚までそのことが伝わっているかどうかは分かりません。それに、最初は理解してもらえていたとしても、見た目ではわかりづらい、自分からも言い出しづらいということで残業などをさせられて辞めざるを得ないケースも多々あります。

このような配慮・環境整備は、職場とともに継続的に評価、見直しをしていくことが大事です。


病気の開示について(参考)

 病気を開示する際には、自分の病気についての詳細な説明よりも、実際自分が何ができて何がしたいのか、そしてその上でそのような配慮が必要なのかを説明する必要があります。

面接の本題に集中できるよう、面接前に、難病相談・支援センターやハローワークと相談し、病気についての簡単な説明書を作る方もいます。 

 

一般に病気には負のイメージがありますが、例えば

 

・病気を持っているため、健常者よりも効率的な動き方を心得ている

・広く悩みを持つ人達の理解する土壌がある

・社会的少数派の立場を理解しやすい

・若くしてバリアフリーの視点がある

     

などのポジティブな側面を挙げることもできます。