難病カフェシンポジウムに参加しました

2017年10月7日(土)、難病の制度と支援の谷間を考える会主催で、難病カフェシンポジウム〜新しい難病者コミュニティづくりの可能性と今後の展望〜2017が明治学院大学において行われました。

シンポジウムは、基調講演(難病NET.RDing福岡)、各地のカフェの取り組み紹介(茨城:難病カフェアミーゴ、東京:難病カフェ おむすび)、パネルディスカッションの構成で行われ、終了後には隣の会場で難病カフェとまりぎ(難病の制度と支援の谷間を考える会主催)が開催されました。当日の様子をレポートします。

基調講演 福岡の難病カフェの取り組み

基調講演では、「福岡でのカフェの取り組み ~福岡から九州へ~」と題して、代表の池崎が当会のカフェの取り組みをお話しました。

 

私たちは、2016年5月から「ほっとcafe RDing」と名付けてカフェを開催しています。

 

 

グループのご紹介から(当会の活動に関してはこちら)、カフェの取り組みを設立の経緯、運営の実際、考察に分けてお話し、九州への広がりや今後の展望についてもご紹介しました。

 

 

福岡は地理的に4つに分かれており、地域間の主な交通手段はJRか車です。県の難病支援を担う難病相談・支援センターは福岡市内に一か所しかなく(2017年10月7日現在)、仕事をしながら平日日中にセンターへアクセスすることは困難です。

 

そんな状況の中、センター主催でのピアサポーター養成講座や就労講演会が開催されたこともあり、私たちの行っていた交流会と、センターをはじめとした支援へのアクセスをうまくつなげることが出来ないか考えるようになりました。

 

時を同じくして、北九州でベーチェット病、IBD友の会主催の難病カフェ「なんくるかふぇ」が2016年2月に開催されました。当会からもメンバーが勉強に伺いましたが、新たな支援の形としてのカフェ形式の可能性を感じ、私たちもカフェを開催することに決めました。

 

以後、お互いにお手伝いをしながら、難病相談・支援センターとの共催という形で2016年5月、10月、2017年5月、10月(予定)の3回に渡ってカフェを開催しています。

若い世代に来てもらいたいので、広報はオンラインが主。調理スタッフはボランティアで、場所は「会議室ではない」レンタルカフェや、オープンスペース(3,4回目は西部ガス株式会社絆結様)を利用しています。

 

毎回30名前後の参加があり、来場いただく方はおひとりでの参加が多く、患者会に所属していない方がほとんどです。7割超が当事者で、そのほかは支援者や家族、興味をもってきてくださる方々です。

 

地理的な特性もあり、患者数の少ない疾患は患者会活動や講演会も少なく、「悩みを話せる相手がいない」という思いを抱えている人も多くいます。相談・支援センターや、ハローワークへのアクセスも難しい。

一方で、体調や都合もあり、事前申し込みが必要な交流会はハードルが高い。そんなみなさんのニーズをカバーするのが、「難病カフェ」ではないかと考えています。

 

難病カフェアミーゴがはぐくむもの

「それではこれより、難病カフェアミーゴを開店しま~す!」の明るい開店宣言で始まったカフェ紹介。いつもこうして宣言をしてから、カフェを始めているそうです。

 

Twitterやメディア等で拝見し、毎回楽しそうな企画で素敵だなあと思っていたアミーゴさん。目指すのは、「地域で孤立しがちな患者、家族が気軽に参加しやすい環境」。

かるた大会や季節ごとの催しに加え、模擬面接会などの真面目な企画も。運営されている吉川さん、桑野さんの温かい雰囲気が、このカフェを形作っているのでしょう、紹介される参加者の皆さんもとても楽しそうです。

 

また、新しい考え方だと思ったことがひとつ。当会では支援へのアクセスを重視し、センターとの共催という形にしていますが、支援員がいると身構えてしまう参加者もいると考え、アミーゴでは「公式には」お呼びしていないとのことでした。こうして、カフェも様々な考えの下、開催形式も地域ごとに大きく違います。

 

参加者からのアイデアで企画を作ったりもされていて、まさにみんなで作るカフェ。

もし誰も来なくても、スタッフが集まって楽しくおしゃべりできたらいいじゃない、というお言葉に、すべてが集約していると思います。

はじめまして!難病カフェおむすびです!

続いてのカフェ紹介は、2017年2月設立の、難病カフェおむすび。

都内を中心に、当事者スタッフ4名で活動していらっしゃいます。

今回発表された代表の新井さんとは、Twitterで4年前から仲良くさせてもらっている仲で、お会いするのは2度目ですがとてもまっすぐで温かい方です。

 

そんな新井さんが主宰するカフェならばとても素敵な雰囲気に違いないと思ってお話を聞いていたら本当にその通りのようです。

様々な出会いをむすぶ、親しみやすいネーミングのカフェ。始めるまでには、仕事との兼ね合いや体調の不安、そして何から始めればよいかという不安がたくさんあったといいます。

そんな中、背中を押してくれた方の存在で、カフェを始めることに。(ここで、最低限こうしたらカフェを始めることができるよと情報を共有できるところ、カフェネットワークのようなものがあれば、もっといろんな人が気軽にカフェを始めることが出来ますよね。)

 

おむすびが、病気と生きる上での支えとなってくれればと語る新井さん。参加者だけでなく、主宰する新井さん自身の大きな支えにもなっているように思います。

 

パネルディスカッション 新しい難病者コミュニティづくりの可能性と今後の展望

パネルディスカッションでは、カフェの課題や、カフェそのもののあり方について議論が交わされました。

 

課題としては、費用や人員、開催場所の確保、そして参加者によって変わる要望にどのように応えるか、などが挙がりました。

カフェのあり方は様々ですが、私たちのカフェは、病気を超えたつながりが、おいしい飲み物を中心に広がっていく、と考えています。

 

 

会場からも、今後カフェを始めたいがどうすればよいかという声が複数あり、先駆者たちのノウハウを共有できるようなネットワークの必要性が改めて確認された形になりました。

 

カフェの定義づけの話では、おむすびの新井さんから「公園のベンチでコーヒーを飲みながら、そこで病気や生活の悩みを話したら、それもカフェだ」という意見があり、まさにそうやって自然発生的にカフェが生まれ、悩みを共有できる場が地域に広がっていくことが、新しい支援の形なのではと感じたところです。

難病カフェ とまりぎ

シンポジウム終了後、となりの会場で難病カフェとまりぎ が開催されました。

就労、生活のこと、病気のこと、フリーにテーブルが分けられ、おいしいお菓子とともに、色んな悩みを語り合いました。

 

九州から上京された方とも久しぶりにお話することができて、とても楽しい時間でした。くまモンの可愛いクッキーも!

 

久しぶりに参加者としてカフェに参加しましたが、主催者側とはまた違った視点で見ることが出来ました。お菓子が可愛いと、会話のきっかけにもなっていいですね。

 

通常シンポジウムのみの場合、登壇者と参加者のつながりは希薄ですが、質疑応答で聞けなかったことや気になること、そして登壇者側も参加者の生の意見を聞くことができるので、シンポジウム後のカフェという形も新しくて有意義だと感じます。

 

 

午後からの長丁場でしたが、カフェのあり方を話した後にカフェでそれを体現するという斬新なシンポジウムはこうして幕を閉じました。

3つのカフェの開催形式は三者三様ですが、だからこそ地域でネットワークを作り、知見をあつめ、よりよい支援の形を皆で考え、つくっていくことが大事だと改めて実感しました。九州では、12月に九州の主催者でシンポジウムを行います。

 

改めまして、登壇者としてお呼びいただき、ありがとうございました。

 

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